愛称 プリティQ
技 Qティーフラワー
・中学生、14歳。
・イケメンに目がなく、かっこいい男が現れるとすぐに惚れる。行動的な女の子。
・勉強は大の苦手。
・一歳年下のQ子とともに「愛のクイズバトラー Qティーズ」を結成。
・Q子の開発したコスチュームを着て、プリティQに変身。集中力が大幅にアップする。
「クイズ脳」という特別な脳を持ち、天才的な閃きと勘がある。
★久井図原Q子
愛称 ビューティーQ
技 Qティースター
・中学生、13歳。
・勉強もできる優等生。
・Q美と共に「Qティーズ」を結成。
・超理系少女でメカに強い。Qティーズのコスティームを開発した。
・おしとやかで、好きな人にもなかなか告白できない。消極的な女の子。
・コスティームを着て、ビューティーQに変身。
本文
N「200X年。文部科学省は知識だけではなく、柔軟な発想を持った若者を育てるべく、学校教育のカリキュラムにクイズを導入。クイズは国民的頭脳スポーツとなった」
◎久井図原家 居間
Q美がテレビを見ている。
番組はクイズコスチュームのファッションショー。
Q美「へー、あれかわいいなあ。一度着てみたいわ」
Q子の父、久井図原伝蔵がゲストに招かれている。
テレビのスーパー「全日本クイズ士連盟会長権『名人』久井図原伝蔵」
驚きの表情に変わるQ美。
Q美「げっ、お父さんが出てる。にやついちゃって、あーあ、恥ずかしい」
Q子「お姉ちゃーん」
Q子が走ってくる。
Q美「遅いよQ子。ファッションショーもう始まってるよ」
Q子「それより、これ見て」
Q美「えっ?」
Q子が雑誌の記事を指差しながら言う。
Q子「今度の学生クイズ大会の優勝賞品。クイズコスチュームのファッションショーのモデルになれる権利だって」
Q美「うそー!!」
記事を確認するQ美。
Q美「よーし、絶対優勝するわよQ子」
Q美N「将来はカリスマクイズモデルになって、イケメン君たちに超モテモテ……、なんてね。うふふふふ」
Q美「大会までにあの指輪完成できる?」
Q子「まかせといて(得意げに)」
◎全国学生クイズ大会、会場
テレビ番組の全国学生クイズ大会。
勝ち上がるQ美とQ子のペア。
◎クイズ大会決勝ステージ
盛り上がる会場。
司会者がチーム名を呼ぶ。
司会「さあ、まずは全日本クイズ士連盟会長兼『名人』久井図原伝蔵の遺伝子を引き継ぐ、美人姉妹『プリティQ』だー」
手を振りながら入場する二人。
Q美はノリノリで、Q子は照れながら回答席に着く。
司会「続いては、予選の全国統一ペーパー試験をトップで通過。優勝候補No.1の美男美女ペア『雅&桜』だー」
堂々と入場する二人。
雅人たちはQ美に向かって不敵に笑う。
司会「決勝のルールは簡単。早押しクイズで十問を先に答えたほうが勝ち。そして、優勝賞品はこちらだー」
ステージ上にイケメンのクイズモデルがずらりと並ぶ。
司会「クイズファッションショーのモデルになれるー!!」
Q美N「きゃー、これよこれ。ショーのあとにはイケメンモデルとカラオケに行って、『歌ってる君もかわいいね』なんて言われたりしてー」
Q子「お姉ちゃん」
妄想に入り込んで、無視するQ美。
Q子「お姉ちゃんてば」
Q美「何よ。うるさいわねえ、今いいところなのよ」
Q子「ぜんぜんよくないわよ。ほら」
見ると、すでにクイズは始まり、五対0で負けている。
Q美「げっ!(ものすごく驚く)」
怒りがこみ上げるQ美。
Q美「くそー、見かけによらず強敵ねえ」
Q子「っていうか……」
Q美「よーっし、こうなったらあれをやるしかないわね。行くわよ。Q子」
Q子「はい」
Q美、Q子「Q着ー!!」
叫びながら飛ぶ二人、指輪が光り、その指輪と指輪をあわせるとハート型の閃
光が放たれる。
驚く会場の人々と対戦相手。
雅人「な、なんだ?」
すると、かわいいコスチュームに着替えた二人が現れる。
Q美・Q子「プリティQ」
ばっちり決まった決めポーズに満足げなQ美。
Q美「決まった……」
ポーン。
桜「エベレスト」
司会「正解でーす」
正解を続ける雅&桜チーム。
盛り上がる会場。
Q美「か、完全に無視されてる……」
Q子「問題も続いてるし……」
ポーン。
雅人「北海道」
司会「せいかーい」
Q美「って、やっぱりかー。もう完璧に怒ったわよー。それっ、必殺『キューティフラワー』」
花を撒き散らしながらどんどん答えるQ美。
Q子「わたしも行かせてもらいます。美技『キューティスター』」
星を撒き散らしながら、正解しまくるQ子。
桜「何者なの、この子達……」
Q美「最後は、二人同時に、『キューティーフラワー&スター』」
Q美、Q子「富士山」
静まり返る会場。しばらくして、
司会「大正解! 優勝決定!」
Q美「やったー」
呆然として固まっている雅人と桜。
飛び跳ねて喜んでいるQ美の首に、
声「おめでとう」
と、誰かが金メダルをかける。
顔をあげると、それは、美少年の銀河。
Q美「あ……」
司会「昨年度のチャンピオン、星野銀河君より、金メダルの贈呈です」
銀河「また会えたね」
Q美「銀河様」
◎Q子の回想
Q美N「一年前」夕方。
人気のない海岸の崖の上に立つ木にロープで腕と足を縛られて、ぶら下げられ
ているQ美。
それを見上げている竜鬼。
Q美「わたしを誘拐しても父は来ないわよ。海外のクイズ大会に遠征中なんだから。父とクイズ対決したけりゃ、大会にでも参加することね」
竜鬼「大会だあ? 俺がやりたいのはそんな甘いもんじゃない。命をかけた戦いだよ」
Q美「クイズは命がけでやるものじゃないわ」
竜鬼、不敵な笑みを浮かべナイフでロープを切ろうとする。
Q美「えっ?、何をする気」
竜鬼「みればわかるだろう。まあ、お前が死んだとなりゃ、伝蔵も勝負を拒みはしないだろう」
眼下に見える崖下の海。
男が本気だということに気が付き、恐怖を感じ始めるQ美。
Q美「いやだ。助けて……」
竜鬼「こんなへんぴな場所に誰か助けに来るとでも思ってんのか、バーカ」
そこへどこからともなくブーメランが飛んできて、竜鬼の手にしたナイフをはら
い落とす。
銀河「夕日が泣いている……」
見ると、ブーメランを手にした銀河が立っている。
銀河「君のやることを見て、夕日が泣いている……」
竜鬼「誰だ、お前」
銀河「星野銀河、お前と同じクイズバトラーだ」
銀河は男の胸の『?』マークのバッジを指差す。
N「『?』バッジはクイズバトラーの証なのだ」
銀河「今すぐここを立ち去れ、竜鬼」
Q美「……」
竜鬼「ほう、俺のことを知っているのか」
銀河「ああ、伝蔵師匠を抹殺し、クイズ無法地帯を作ろうとしているクイズ結社の一員だろ?」
竜鬼「ふっ、どうやらお前も闇のバトラーのようだな。なら、勝負しようじゃないか、俺に勝つことができたら彼女を開放してやろう」
銀河「その言葉に嘘はないな」
竜鬼N「俺はクイズ全国大会にも出場した男。そんじょそこらのバトラーとは格が違うということを教えてやる」
竜鬼「それっ、バーチャルクイズステージ出て来い」
カプセルを投げると、3D映像で作られたクイズステージが登場する。
竜鬼「ジャンルルーレット!」
ジャンル決めの巨大ルーレットが回り、そこに竜鬼が矢を投げる。
クイズ対決。銀河が勝つ。
竜鬼「この俺がまったく歯が立たないなんて……」
Q美「す、すごい……」
竜鬼「銀河か、覚えておこう……」
そう言って消える。
銀河、Q美に近づく。
銀河「大丈夫でしたか」
Q美の縄を解く銀河。
落下するQ美を下で待ちうけ、両腕で受け止める銀河。
抱えられ、目があい、真っ赤になるQ美。
心臓のばくばく音。
◎久井図原家・二階の窓辺
金メダルを首にかけ、手に持って回想しているQ美。
Q美N「まさか、またあの人に会えるなんて……。でも、せっかく会えたのにまた言葉一つ交わせなかった」
おしゃれなドレスを着たQ子がポーズを取り、
Q子「クイズファッションショーに着ていくドレスよ」
Q美「ふーん」
Q子「お姉ちゃんは、どれにする」
Q美「Q子、一人で行ってきたら」
Q子「なに言ってるの。お姉ちゃんの好きなイケメンクイズモデルと会えるかもしれないのに」
Q美「あの人と比べたら、そんなやつら目じゃないわ」
そこへ、一羽のカラスが突進してくる。
Q美の驚く暇もなく、カラスは、金メダルをくわえると、飛べたつ。
Q美「あーっ!」
Q子も驚く。
Q美「待てっ、泥棒!」
◎家の屋根の上
カラスが休んでいる。
追いかけてきたQ美とQ子がそれを見つけるが、カラスは、バカにしたよう
に一鳴きすると、再び飛びたっていく。
以下、カラスとQ美たちの追いかけっこがあって……
◎Q徳寺の前
貫禄のある寺が建っている。
Q子「この中に入っていったわよ」
Q美「絶対、捕まえてやる。それっ、突撃ー」
◎Q徳寺 お堂
お堂に立つQ子とQ美。
Q美「すいませーん、誰かいませんかー」
返事はない。
Q美「留守みたいだね」
帰ろうとする二人を呼び止める声。
一Q「誰だあんたたち」
背中を向け、座禅をしていた少年がこちらを向く。
Q美「あの、ここに、カラスが飛び込んで来ませんでしたか」
一Q「カラスなんて知らないなあ」
Q美「メダルをくわえたカラスです」
一Q「ああ、それは、カラスじゃないよ。九官鳥のQタロウだよ」
Q美「メダルを見たんですね」
一Q,懐から金メダルを取り出す。
一Q「これのことかい。俺の名は、一Q.とんちで有名な一Q和尚の子孫なのさ」
安堵するQ美。
Q美「よかった。ありがとう」
一Q「誰が返してやるって言った」
Q美「えっ」
一Q「これ、学生クイズ大会のメダルだろ。お前たち、そんなにクイズが強いなら、この俺と勝負しようじゃないか。クイズで俺に勝ったら、返してやるよ」
Q美「ふん、わたしたちに勝てると思っているの」
一Q「出て来いクイズステージ」
一Qが投げたカプセルで3D画像のクイズステージ登場。
一Q「教えてやるよ。お前たちが井の中の蛙だってことをな」
Q美「さあ、とっとと始めましょう。どうせわたしたちが勝つんだから」
不敵な笑みの一Q。
Q子N「なに、この子の余裕は? いやな予感がする……」
一Q「では、遠慮なく……、それっ」
一Qの拝んだ手の先に光の玉が現われる。そして、玉が真上に飛んだと同時に、一Qも飛ぶ。
一Q「くらえー、『一Q入魂』」
Q美「えっ!」
Q子「危ない」
Q子がQ美を突き飛ばす。『一Q入魂』はQ子に直撃する。
吹き飛ばされたQ子にQ美が駆け寄る。
Q美「Q子、大丈夫?」
Q子「う、うん(痛そうにしている)」
Q美「いきなり何するのよ」
一Q「中に問題が入ってるんだよ。ちゃんと避けなよ。じゃないと出てこないでしょ、どんくさいなあ」
Q美「(怒り爆発)もうあったまきたー!! Q着ー」
叫びながら飛ぶと、指輪が光り、Q美はプリティQに変身する。
Q美「プリティQ、参上。もうあんたの思い通りにはさせないわ」
一Q「それはどうかな? 次、行くぜ」
再び『一Q入魂』を放つ。
今度は避けるQ美。
問題が出る。
Q美、Q子「えっ? 何この問題……」
驚く二人。
一Q「どうした? 制限時間だぞ、そらっ次……」
再び『一Q入魂』を放つ。問題
まったく答えられないQ美とQ子。
二人に歩み寄る一Q。
一Q「どうだ? あんたたちのような知識だけを詰め込んだやつらには答えられまい」
九官鳥が飛んできて、一Qの肩にとまり、、Q美たちに向かって、アホー、アホ
ーと鳴く。
一Q「『クイズの世界には無限の広がりがある』それが伝蔵師匠の教えだ」
Q美「あなた、父の弟子?」
一Q「さっきは悪口を言ってごめん。師匠にクイズは知識だけじゃないことを教えてやってくれと頼まれたんだ」
Q美「じゃあ、このカラスも」
一Q「九官鳥だって。俺が命令して、君たちをここへ連れてくるよう、頼んだんだ。わざわざ、こっちからいくのは面倒だからね」
一Q,金メダルを差し出す。
一Q「というわけだから、このメダルは、返すよ」
Q美、そのメダルをじっと見つめるが、
Q美「受け取れないわ」
一Q「どうして」
Q美「負けたから。……今度は、私が問題を考える。そして、もう一度、勝負よ。
それまではあなたに預けておく。行こう、Q子」
Q子「うん」
去っていく二人を見送り、ちょっと寂しそうな一Q。
一Q「なんだよ、もう帰っちゃった。お茶でも一緒に飲みたかったのに」
◎ 久井図原家
Q美が腕組みして考えている。
Q美「とは、いったものの、うーん」
◎ 学校・教室
Q美が考えこんでいる。
Q美「どうしよう、全然、思い浮かばない」」
◎ 学校の帰り道
考えながら歩くQ美。
靴にあたった石ころが水溜りに落ちて波紋を広げる。
それを、じっと見つめるQ美。
Q美、何か閃いて、
Q美「……出来た!」
◎Q徳寺の前
Q美、やってくるが門が閉まっている。
Q美「どこかに出かけたのかしら」
張り紙がしてある。
意味のわからない文字で暗号になっている。
問題「×××××」
Q美「一Qのやつ、伝言まで、クイズにしてる」
Q美「この問題が解けなければ、あいつと対戦さえできないの」
Q美、必死に考えて、暗号を解く。
Q美「クイズ国技館か……。そうだ、今日は、名人戦の日だった」
◎クイズ国技館 名人戦会場
超満員の会場。
司会「十年連続名人の座を守り続けている無敵のクイズバトラー、久井図原伝蔵の入場だー」
伝蔵が入場してくる。ゆっくりと歩き貫禄を見せ付ける。
盛り上がる会場。
それを観客席のQ子が見ている。
少し離れた席に一Qが座っており、
一Q「やっぱ、師匠はかっこいいなあ」
その一Qと目が合うQ子。
一Qは、二コリと笑うが、Q子は、つんと顔をそむける。
クイズステージ回答席に立つ伝蔵。
司会「さあ、続いては、まったくの新人でありながら名人への挑戦権を獲得した。クイズ界の超新星。死神だー」
仮面を付け、気味の悪い姿で入場する死神。
会場からはブーイング。
死神「自分のお墓は持っているのか? 今すぐ必要になるぜ伝蔵名人」
伝蔵「……ここは神聖なクイズ国技館だ。無駄口はやめろ」
死神「そういえば、こないだそこにいるお前の弟子と戦ったよ」
見ると、伝蔵の付き添いの弟子の一人が大怪我をしている。
死神「そいつは負けた後、命乞いをしやがったぞ。そんな弱い弟子じゃあ、師匠もたかが知れてるだろうな……、クククク」
うなだれる弟子。
伝蔵「クイズの厳しさを教えてやる」
司会「それでは、クイズ名人戦スタート」
問題
連続で伝蔵が答える。
伝蔵「口ほどにもない……」
死神「さすが名人といったところかな。だが、これはどうだ?」
何かをしようとする死神に気が付く伝蔵。
死神「いくぞ。『死神円舞』」
カードを伝蔵に投げつける。すると、カードは伝蔵の上をくるくるとしばらく回って落ちる。
伝蔵「それがどうしたというんだ?」
カードの問題を答えようとするが、答えられない伝蔵。
伝蔵「わ、分からない」
ざわめく会場。
一Q「し、師匠」
Q子「お父さん……」
死神の繰り出すカードクイズにまったく答えられない伝蔵。
体調も悪くなっていく。
死神「さあ、これで最後だ」
死神はタロットカードの『死神』を投げつける。
そのカードを拾い、カードの死神と目が合ったところで伝蔵は倒れる。
伝蔵「う、うう」
◎クイズ国技館 観客席
会場に到着するQ美。
一Qを見つけ、
Q美「一Q、やっと見つけたわ。あなたを倒す、クイズを考えてきたわ」
一Q「それどころじゃないよ。あれを見ろ」
伝蔵が倒れているのを目撃するQ美。
Q美「父さんが、負けている……」
◎クイズ国技館 クイズステージ
伝蔵に近づく死神。
死神「まだ、生きてるのか。止めを刺してやるよ」
カードを投げる死神。
飛んで来たブーメランがカードを突き刺し、ターンして、会場に戻ってくる。
カードが刺されたままのブーメランを手に取る銀河。
Q美「銀河様」
銀河「クイズは殺人兵器じゃない。僕が相手になろう。」
一Q「待ってくれ!。師匠の仇は、俺が取る」
一Q、クイズステージに立つ。
一Q「『一Q入魂』」
一Qの放った光の玉が死神の顔面を直撃する。
仮面が割れ、正体が明らかになる。
一Q「えっ!!」
Q美「……」
銀河「……」
伝蔵「……」
仮面の下の素顔は、竜鬼。
一Q「兄弟子の竜鬼じゃないか……」
Q美「あのときの」
伝蔵「竜鬼……」
一Q「おい、お前、師匠になんてことするんだよ」
竜鬼「あんたの時代は、終わったんだよ、伝蔵さん。一Q、俺たちの仲間に入って、一緒にクイズのユートピアを作らないか」
一Q「俺は、ごめんだよ」
竜鬼「そうか、では、仕方ない」
一Qに向けて、カードを投げる竜鬼。問題
一Q、答えようとするが、頭に何も浮かばない。
会場の銀河も頭も押さえている。
銀河「おかしいと思ったら、このカードに秘密があったのか」
◎ 同・ステージ
竜鬼「どうやら、俺の勝ちのようだな」
Q美「そうは、させないわ」
指輪が光り、プリティQに変身するQ美。
Q美「わたしがクイズの平和を守る!」
竜鬼「ふふ、今度は娘の登場か!」
Q美「Qティーフラワー」
Q美の投げた質問に簡単に答える竜鬼。問題
竜鬼「では、今度は俺の番だ」
銀河「(叫ぶ)一Q!」
倒れていた一Qが、銀河のほうを向く。
竜鬼「これがとどめだ。『死神円舞』」
竜鬼はタロットの『死神』のカードをQ美に投げつける。
銀河「一Q、あれを打ち返すんだ!」
一Q「了解、それっ、『一Q入魂』」
光の玉でタロットを打ち返す。
タロットは竜鬼に直撃する。悶絶する竜鬼。
竜鬼「ぐわー、し、しまった」
Q子「お姉ちゃん、今よ」
うなずくQ美。
Q美「それっ、Qティーフラワー」
問題
「10円玉一つだけで、大きさの違う円をたくさん描くにはどうしたらいいでしょう」
竜鬼、その問題に答えられず、頭を押さえて倒れる。
解答
「洗面器に10円玉を放り込む。→丸い波の輪がたくさんできる」
やった、と嬉しそうに見詰め合うQ美と一Q。
喜ぶQ子。
Q美、会場の銀河を探す。
銀河「このカードには、微粒子状の毒が塗られていたんだ。それを吸うと気分が悪くなり集中力が低下する。汚い技だ」
と、どこからともなく、不気味な笑い声が聞こえてくる。
会場に立ちはだかる死神。
竜鬼は、ステージに倒れたまま。
別の死神が現れたのだ。
死神「死神が一人だと思ったら大間違いだよ。また会おう、諸君」
マジックのように消え去る死神。
Q美たち、呆然としている。
◎病院のベッド
伝蔵が寝ている。
周りにはQ子とQ美と一Qの三人。
Q美「よかった、良くなったみたいで」
伝蔵「今回のことは相手の反則とはいえ、不覚を取ったのは事実。『名人』を返上することにした」
驚く三人。
伝蔵「なあに、悲しむことはない。新たな名人が誕生するだけのことだ。それより、心配なのは死神たちのことだ」
一Q「あいつら、いったい、何をたくらんでいるんでしょう?」
伝蔵「クイズは、ただの競技にすぎん。なのに、あいつらは、クイズの強いやつだけが世の中を支配するクイズ無法地帯を作ろうとしている。そのためには、それに反対する私を殺す必要があったのだ」
一Q「では、また、師匠を襲いに来ますね」
伝蔵「いや、もはや、私の力など、やつらは、恐れていない。偽のクイズ経典が出回ってしまったのだ。その教えに洗脳されたクイズバトラーたちが力をつけ、世の中は、死神たちの思いのままになりつつある」
一Q「どうすれば、いいんです」
伝蔵「クイズ天竺に行って、本物のクイズ経典を持ち帰ることだ」
一Q「わかりました。俺が取ってきます」
伝蔵「頼むぞ。一Q」
一Q,金メダルをQ美に差し出す。
一Q「今度こそ、メダルを返すよ。最後のあの問題、俺も答えがわからなかった」
Q美「毒を浴びてたからでしょ」
と言いつつ素直に受け取る。
一Q「では、師匠。行ってまいります」
出て行く一Q.
見送るQ美とQ子。顔を見合わせる。
伝蔵「お前たちはどうする」
◎病院の外
一Qが豚の形の車に乗り込もうとしている。
そこへ、Q美とQ子が現れる。
Q美「私たちも一緒に行くわ」
一Q「へえー、俺が三蔵法師なら、さしづめ、君たちは、猿と河童だな」
一Q、Q美たちにこてんぱんにされる。
後部座席に女王様然と乗り込む二人。
Q美・Q子「それ、出発進行」
こてんぱんにされた運転席の一Qの肩にQタロウがとまる。
豚形自動車、発車する。
Q美N「さようなら、銀河様。また会う日まで」
◎信号前
豚形自動車止まっている。
その横にバイクが停車する。
一Q「やあ、銀河じゃないか」
驚くQ美。
銀河「伝蔵師匠に君たちの護衛を頼まれた」
一Q「そりゃあ、いいね」
銀河「つかず離れず、ついていくよ」
銀河と目があうQ美。
銀河「ごきげんよう」
Q美「ご、ご、ご、ごきげんよう」
信号が青になる。
Q美に手を振り、先に発進していく銀河のバイク。
一Q「クイズパトローラーの銀河が一緒だと心強いよ」
Q美、嬉しくなって、呟く。
Q美「クイズは愛のキューピッドね」